ホワイトニングの基本
会話中や笑ったとき、口元から見える後はお顔の印象を左右する大切なパーツです。そのためか、欧米では歯並びの矯正やホワイトニングに対して、意識が高いことが知られています。
日本でも、芸能人やスポーツ選手などメディアに登場する人には、白くきれいな歯をしている人が多くいます。白い歯は、見る人に清潔感や若々しさを印象付けます。ですから一般の人でも、就職や結婚といった機会にホワイトニングを考える人が増えてきました。白い歯にすることは、見た目だけの問題ではなく、歯への意識を高め、虫歯や歯周病の予防にもつながり、歯を健康に保つことになります。
また、歯に対するコンプレックスをなくすことで、気持ちが明るくなったり前向きになったりする効果もあります。歯が美しいことは、歯の大切な役目ですから、歯の色が気になっている方は、遠慮なく歯科医院でご相談されるといいでしょう。
歯を白くする方法にはいくつかあります。その一つがホームホワイトニングです。歯を削るような処置もなく、自宅で手軽に行えます。ただし、歯の着色や変色の原因によって適した治療法は違いますし、ホームホワイトニングが禁忌の方もいらっしゃいます。
最近では市販のホワイトニングキットもあるようですが、歯科医院で相談し、ご自身の症状に適した治療を行ってもらうようにしましょう。
ホームホワイトニングとは?
ホーム(HOME)と名前につくように、自宅で行えるのがホームホワイトニングです。歯科医院で、マウスピースとホワイトニング剤を購入し、ご自分で使用します。何度も通院 する必要がなく、好きな時間に好きなことをしながら行うことができます。
通販などで購入するホワイトニングキットとの違いは、オーダーメードのマウスピースだということです。また、ホワイトニング剤も、効果の高い医薬品を購入できます。
さらに歯科医院では、ホームホワイトニングが適しているかどうかの判断やアドバイスももらえますので、自己判断をせず歯科医院に相談することをお勧めします。
ホームホワイトニングで使用するもの
患者様の歯にあわせて作った専用のマウスピース、そしてホワイトニング剤を使用します。マウスピースは、患者様の歯から歯型をとって製造します。一度製作すれば、何度も作り直す必要はありません。
ホワイトニング剤の購入は歯科医院がおすすめ
海外からの輸入品の中には高い効果を謳う製品もありますが、思わぬ副作用が表れるものもあります。
治療効果と品質と安全性の3つがいずれも高い物となると、やはり歯科医院で購入するのがよいでしょう。
専用のマウスピースを作るには
まずは歯科医院で診察を受けて、ホームホワイトニングをしても大丈夫か、歯や歯茎の状態をチェックします。虫歯がある、歯に歯石が多く付いているなどがあれば、ホワイトニングの効果が薄くなるため、先にこれらの治療をします。
診察によって問題がないとわかれば、歯型をとって、マウスピースを作ります。マウスピースは、3日~4日程度で完成します。
完成後に、患者様は再度歯科医院を訪れて、できあがったマウスピースを装着し、違和感がないか、チェックします。
問題がなければ、ホワイトニング剤を購入し、帰宅してホームホワイトニングを開始します。
ホームホワイトニングの手順
ホームホワイトニングは、患者様ご自身が手順などを管理します。もしも、間違った使い方をすれば、効果が薄れるばかりか、知覚過敏などのトラブルを起こしかねません。歯科医院での説明やその手順を、しっかりと守ってください。
ホームホワイトニングは、以下の手順で行います。
事前準備
- 汚れを残さないように、歯磨きはすみずみまで丁寧に行う
- 米粒ぐらいにホワイトニング剤を数滴取り出し、マウスピースの内側に付ける
- マウスピースを歯に装着する
マウスピース装着時の注意点
マウスピースを装着したら、以下のことに注意します。
- 装着時間は1日2時間以内を厳守する
- 装着したまま眠らない
- 装着時に、飲食や喫煙は行わない
- どんな運動も行わない
つまりは、装着中は安静にして、外すまで様子を見てください。ホワイトニング剤が少なく、マウスピースを装着しても、歯に均一に広がらないときは、一度マウスピースを外してホワイトニング剤を少量追加します。ホワイトニング剤が多すぎて、マウスピースを装着したときにはみ出したならば、歯茎などに付かないように、拭き取ります。
ホワイトニング後
マウスピースを装着して、時間が経ったら、マウスピースを外し、口をすすぎ歯を磨きます。このとき歯磨き剤は使わなくてかまいません。マウスピースは、ホワイトニング剤を拭き取ってから、よく洗って、タオルなどで水分を拭き取り、ケースにしまってください。(お湯を使うと変形する恐れがあります)
トレーとホワイトニング剤は冷暗所で保管してください。使用していないホワイトニング剤は、冷蔵庫に入れて保管します。
ホワイトニング後は、一時的に歯にダメージがあるので、着色しやすい状態になっています。ホワイトニング直後の1時間程度は、水以外の飲食はしないようにします。そして、24時間以内には、コーヒーやカレーなどの色の濃い飲食物、さらに、レモンや、コーラなどの酸性の飲食物は控えましょう。喫煙は時間に関係なくおやめください。
ホームホワイトニングで
効果を出すには?
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継続する
1日2時間ぐらいのホワイトニングを、最低でも2週間は続けます。
ホームホワイトニングはすぐに効果が出るものではありません。
また、歯の質には個人差もあり、効果が出るまでの時間も人それぞれです。まずはじっくり続けていきましょう。 -
後戻りをさせない
ホワイトニングの効果は半年〜1年です。日頃から色の濃い食べ物を避ける、研磨剤入り歯磨き粉を使わないことなどに留意すると、色の後戻りを遅らせる効果があります。
また、継続的に白い歯を維持するには、半年~1年のサイクルで、ホワイトニングをし直すことをお勧めします。 -
丁寧に歯磨きをする
歯磨きは、虫歯や歯周病の予防の他に、着色も防げます。
ホワイトニングの効果を長く維持するなら、毎日丁寧な歯磨きをしましょう。力を入れず、ブラシの先を歯の表面や歯と歯の間にあてることを意識して、細かく動かして磨きます。 -
違和感があったら歯科医院に行く
ホワイトニングをして、違和感がある、または何かトラブルが出たら、すぐに歯科医院で診てもらいましょう。
知覚過敏になる人や、思ったほどの効果を得られない人もいます。
どのようなトラブルでも、自分で勝手に判断せずに、歯科医師に相談してください。
ホームホワイトニングの
メリットとデメリット
自宅で手軽に行えるというメリットがあるホームホワイトニングですが、デメリットも存在します。
メリットとデメリットを見て、ホームホワイトニングをするかどうか決めてください。
ホームホワイトニングのメリット
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自分のペースで行える
マウスピースに薬剤を塗り、装着するだけなので、自宅で好きな時間に行えます。歯科医院に通う必要もありません。テレビを見ながら、お風呂に入りながらなど、口を使用しないときに、自分のライフスタイルの中で都合の良い時間にできます。 -
歯への負担が少ない
歯を削ることなく白くできる方法のために、歯に優しいホワイトニングです。 -
色の後戻りがゆるやか
オフィスホワイトニングに比べ、色の後戻りがゆっくりで効果が持続します。 -
オフィスホワイトニングより安価
色が戻った際も、ホワイトニング剤だけを購入すれば、マウスピースを使って継続することができます。そのため歯科医院で行うオフィスホワイトニングよりも、安く行えます。
ホームホワイトニングのデメリット
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継続しないと効果が出ない
効果が表れるまでに2週間〜4週間かかります。 -
ホワイトニングの最中と終了後何時間かは行動を制限される
専用のマウスピースを、ホワイトニング1回につき2時間程口に装着しなければいけません。毎日継続させることは、人によっては大変です。また飲食物の制限や禁煙など、自分でコントロールしなければなりません。
ホワイトニングを
避けた方が良い人
ホームホワイトニングは、特定の疾患を患っている人や、特定の歯の状態の人には、適しません。
そのため、市販の薬剤で個人的に行うホワイトニングはお勧めできません。
歯科医院の専門的なアドバイスのもとで行いましょう。
無カタラーゼ症
体内にあるカタラーゼが不足する病気です。ホワイトニング剤に含まれる過酸化尿素を分解するのがカタラーゼであり、疾患によって不足している方が、誤って薬剤を飲み込むと、体内で分解できません。
分解されずに蓄積した過酸化尿素は、口腔壊死などの疾患を引き起こす恐れがあります。
妊娠中や授乳中の方
妊娠中は体内のホルモンバランスが通常とは変わっていますので、ホワイトニング剤が体に影響する恐れがあります。授乳中の方も、乳児への影響が考えられます。
ポリオレフィンアレルギーの方
マウスピースを装着すると、アレルギー反応を示す方がいます。虫歯や重度の歯周病の方
ホワイトニング剤によって悪化する恐れがあるので、先に虫歯や歯周病の治療をしてから、ホワイトニングに移ります。抗生物質での色素沈着、神経のない歯、人工の歯
テトラサイクリン系の抗生物質による着色は、ホームホワイトニングでは白くなりません。
また、神経を抜いた歯、差し歯や銀歯などの被せ物や人工の歯も、同じく効果が出ません。
14歳以下の方
成長中の歯に悪影響を与えるかもしれないので、ホワイトニングは、基本的に行えません。
ホワイトニングを
長持ちさせる食事
治療後は食事内容に気をつけることで効果を持続させることができます。ホワイトニングは、歯に着色した色と共に、歯の表面の薄い被膜を除去して白くするので、治療後しばらくの間は、エナメル質がむき出しの状態になっています。
食べ物や飲み物の種類によっては、治療後すぐ口にすると、歯が着色してしまいます。歯の表面の被膜の再生には、12時間~48時間必要です。最低でも、治療後24時間は食べ物と飲み物に気をつけましょう。
着色しやすい食事とは?
基本的に色の濃い食べ物や飲み物はさけましょう。具体的には以下のような飲食物です。
色の濃い調味料
醤油や味噌、ソース、焼き肉のタレなどの色の濃い調味料は避けましょう。ポリフェノール入りの食品
ポリフェノール入りの食品と言えば、赤ワインが有名です。歯を着色しやすい飲み物なので、ホワイトニングした後24時間は、飲むのを控えましょう。
さらには、チョコレート、ココア、ブドウ、ブルーベリー、イチゴなどにもポリフェノールは含まれるので、避けた方が賢明です。
タンニン入り、またはカテキン入りの食品
茶渋の元がタンニンであり、渋という成分です。タンニンやカテキンもポリフェノールの一種で、湯飲みに茶渋が着くように歯にも着色します。コーヒーやお茶は、避けるようにしましょう。イソフラボン入りの食品
イソフラボンもポリフェノールの一種です。豆腐、納豆、豆乳などに含まれており、たくさん食べると色素沈着を起こして歯が黄ばみます。色が濃くない食品ですが、注意が必要です。酸性の食品
ビタミンC入りのドリンク、酢や柑橘系の素材のドレッシングなどの、刺激が強い食品も要注意です。カレー、ケチャップ、マスタード、からし、わさび、レモン、トマトなども避けた方が良いでしょう。ホワイトニングによって被膜のはがれた状態の歯に酸がつくと、脱灰(歯のカルシムが溶け出すこと)が大きく進行し、元に戻りにくくなってしまいます。
ホワイトニング後に着色しやすい食事を食べたときの対処方法
ホワイトニング後に、着色しやすい食品を摂取したときは、すぐに歯を磨いてください。市販されている、着色汚れを取りやすい歯磨き粉、ホワイトニング用歯磨き粉などを使うと良いです。歯を磨くのが難しいときは、水を飲んだり、口をすすいだりするだけでも違います。
また食事の前にコップ1杯の水を飲んで、口の中を潤しておくのも着色予防に役立ちます。口が渇いている方が着色しやすいからです。
飲み物であれば、ストローを使い、歯に飲み物がなるべく付着しないようにするのもよいでしょう。
ホワイトニングを長持ちさせる食事
色の濃い食べ物や飲み物は着色しやすいので、色の薄い食品、または白い食品を食べると、ホワイトニングの効果を長持ちさせられます。例えば、パンを食べるときには、イチゴジャムよりは、バターやマーガリンの方が着色しにくいです。ラーメンであれば、醤油味や味噌味よりも、塩味です。ただし、色の白い豆腐や豆乳はイソフラボンが入っているので、食べ過ぎには注意が必要です。
飲み物ならば、赤ワインよりも白ワインであり、他のアルコールなら、日本酒や焼酎です。柑橘類で割らないようにしましょう。普段の飲み物は、コーヒーやお茶よりも、水です。
ただし、あまりにも着色を気にし過ぎて食事が偏ってしまうと、健康を害してしまいます。食事を楽しむことは生活を豊かにしますから、あまり頑張り過ぎないことも大切です。
ホームホワイトニングの費用
基本セット(片顎マウスピース、ホワイトニング剤2本) | 30,000円 |
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追加ホワイトニング剤(1本) | 2,000円 |
PMTC(機械的歯面清掃) | 2,000円 / 1回 |