CERAMIC

セラミック治療とは?

セラミック治療とは、見た目にも美しく白い歯に治療する総合的な歯科治療を言います。虫歯を治療すると、歯を削った後に詰め物やかぶせ物を入れます。保険診療で行えば、多く の場合で銀色の詰め物やかぶせ物になります。小さい虫歯や前歯の場合は、レジンという白いプラスティックを詰めますが、時間が経つと黄色く変色してしまいます。見た目にはあまりよくないため、最近では白い歯にしたいと希望する人が増えてきました。そのような希望を叶えるのがセラミック治療です。

セラミックとは、非金属の無機材料を焼成したもので、焼き物や陶器の仲間です。セラミックが歯科治療として取り入れられ始めたのは、18世紀のヨーロッパだと言われています。当時のセラミックの材料はポーセレンと呼ばれる陶材ですが、噛めるほどの強度はなく、サロンなどの社交の場で、歯のない貴婦人方が飾りとして使用していたようです。その後、材質や製作過程が改良され、現在のような安全性が高く美しいセラミック治療が行われるようになりました。現在ではセラミック治療で使われる材料にはいくつか種類があり、それぞれの特徴によって適したものを選択することができるほど、自由度が高くなってきています。

 
銀歯やレジンとセラミック治療との違い
従来の虫歯治療で主に行われてきた修復法は、銀歯やレジンというプラスティックの詰め物やかぶせ物でした。銀歯は、強度的には優れていますが、非常に目立って見た目にはよくありません。金属アレルギーの心配もありますし、歯ぐきに接しているとそこから歯肉が変色する恐れもあります。
レジンは白い詰め物で、治療した当初は目立ちませんが、時間の経過とともに黄色っぽく変色してきます。セラミックは、天然の歯と非常に近い色に作ることができ、変色もしません。また汚れが付きにくいという特長もあります。 ただし、メリットばかりではなく、デメリットもあります。

セラミックのメリットとデメリット

セラミック治療は見た目に美しく治療ができますが、デメリットもあります。
メリットとデメリットの両方を理解して、検討してください。

セラミックのメリット

  1. 見た目が美しい
    セラミックでは、天然の歯と同じような色や透明感、質感を再現できます。治療したことが人からは気づかれない程の仕上がりです。
  2. 変色せず、汚れも付きにくい
    セラミックは、長く使用していても、変色することはほとんどありません。
  3. 金属アレルギーにならない
    銀歯は長年使用するうちに、金属成分が解け出て体内に蓄積するため、金属アレルギーを発症することがあります。セラミックは素材に金属を使用していないため、金属アレルギーを起こしません。

セラミックのデメリット

  1. 割れやすい
    セラミックは陶器の一種なので衝撃を吸収しにくく、強い力がかかると割れることがあ ります。一度割れると修復はできないため、作り直さないといけません。
  2. 治療では削る歯の量が多い
    セラミックのかぶせ物は強度を確保するために、厚みがあります。そのため、金属のかぶせ物をする時と比べて、より深く削らなければなりません。したがって、虫歯の部分以外の健康な歯の部分まで削ることになります。
  3. 治療費が高い
    保険診療で行えるセラミックの治療には、厳密に部位と材料が決められています。 それ以外の治療は保険適用外となります。

セラミック治療の種類

セラミックを使って行う治療には、「クラウン(かぶせ物)」と「インレー(詰め物)」があります。 クラウンとは、歯をぐるっと一回り削って、その上にセラミック製の歯を被せる治療法です。変色した歯を白くしたいとか、形の悪い歯を周囲と揃えたい、という場合に使います。また、虫歯が大きくて削る量が大きい場合の治療にも適します。
インレーとは、歯の神経を残すことができる程度の虫歯の時に、削った部分に詰め物をする治療法です。 クラウンとインレーの治療には、それぞれ使うセラミックの材料によって、次のようなものがあります。
オールセラミッククラウン(プロセラ)

プロセラは光の透過性に優れ、自然で美しい見た目に仕上がります。透明感、質感、色調ともに理想の物を作ることができます。

ジルコニアクラウン(プレミアム・スタンダード)

ジルコニアは人造ダイヤモンドの原料であるように、強度に優れています。色調の再現性にはやや劣ります。

メタルボンド

メタルボンドは金属のフレームにセラミックを焼き付けたクラウンです。強度に優れますが、金属アレルギーを起こす可能性があります。

セラミック治療の費用

オールセラミッククラウン(プロセラ) ¥100,000
ジルコニアクラウン(プレミアム) ¥60,000
ジルコニアクラウン(スタンダード) ¥30,000
メタルボンド ¥80,000
セラミックインレー ¥50,000
ハイブリッドインレー ¥30,000
歯科治療でのセラミックの治療費用は高いのか?安いのか?
銀歯の費用は、1本あたり3,000円~5,000円程度であり、セラミックの費用は1本あたり6〜10万円前後です。金額だけ比較すると、セラミックの治療は高額です。しかし、金属アレルギーを起こさない、変色しない、目立たず、美しい、といった治療の効果を比較するとどうでしょう。長く快適に過ごせるという目に見えない価値に対する対価でもあります。

セラミックを長持ちさせるポイント

セラミックの寿命は、10年程度だと言われています。
しかし、口の中の環境、生活習慣によって寿命は左右されます。

技術力の高い歯科医師を選ぶ
セラミックの寿命は、施術を行う歯科医師の技量によって、変化します。正しい噛み合わせになるようにセラミックを削って歯に取り付ければ、長年使っても、セラミックへの摩耗や衝撃を少なくして、長持ちさせられます。 これが、噛み合わせの悪い状態になると、噛む力が不適切にかかるためセラミックは劣化しやすく、場合によっては周囲の歯にまで悪影響を与えるかもしれません。歯を削るときは、適切な量を適合しやすい形に削る、セラミックと隣の歯の境目をなめらかに仕上げるなど、歯科医師の技術力により差が生まれます。
口の中を清潔にする
日頃の口の中のケアも大切です。セラミックには汚れがつきにくいのですが、周辺の歯に磨き残しがあるとセラミックの内側に細菌が侵入し、虫歯に進行する可能性があります。丁寧に歯磨きをしましょう。
歯磨きを行うときは、鏡を見ながら、どの歯を磨いているのか意識しながら磨きましょう。そして、臼歯〜前歯〜臼歯などのように、順番を決めて磨いていきます。 1本の歯の表面、歯と歯の間、裏面、噛み合わせの面とそれぞれの面を、10回~20回程度磨き、全体で3分以上時間をかけて行うのが理想です。
歯磨き以外のケア
歯と歯の間はブラシが届かないので、フロスなどを使って綺麗にします。フロスは、歯と歯の間に詰まった食べ物を取り除くのにも役立ちます。まずはフロスで歯の間を綺麗にして、その後歯ブラシで歯磨きをするのがおすすめです。 しかし、歯磨きを行っても、口の中の80%ぐらいしか汚れを取り除けないと言われています。放っておくと、残った汚れが歯垢や歯石を作り、やがて虫歯や歯周病になります。そのために、定期的に歯科医院を訪れて、口の中の歯垢や歯石を取り除いてもらいましょう。

セラミックの破損について

セラミックは、衝撃を吸収しにくく、硬い素材のために、割れやすいというデメリットがあります。セラミックは欠けたり割れたりすると、修理がきかず、ほとんどの場合で作り直さなければいけません。衝撃のかかりやすい部分にはどのような素材が良いか、歯科医院で十分に検討して治療を行いましょう。

セラミックが割れる原因
噛み合わせが悪い
セラミックは、噛み合わせが悪いと割れやすくなります。治療直後は正しい噛み合わせでも、時間の経過とともに変化してしまうことがあります。噛み合わせが変わることでセラミックに無理な力がかかり、割れてしまうのです。また、とても硬いものをぐっと噛んだときに、割れてしまうことがあります。
歯ぎしりや食いしばり

歯ぎしりや、食いしばりをする癖のある方は、要注意です。寝ている間に歯ぎしりや食いしばりをする癖のある方は、睡眠用に専用のマウスピースを作り、マウスピースを装着して眠ると、セラミックの歯への負担を減らせます。

また日中も、なるべく上下の歯と歯が当たらないように気をつけておくと、食いしばりの癖が軽減されます。

セラミックが割れないようにするには
噛み合わせに変化が起きていないか、定期的に歯科医院でチェックしてもらうと良いでしょう。噛み合わせの変化は自分ではわかりにくいものです。 また、歯ぎしりや食いしばりの癖がある人は、寝るときにマウスピースを使いましょう。 硬い物をガリガリ噛むこともやめましょう。 そして日頃から、歯磨きを丁寧に行い虫歯や歯周病を予防しましょう。